第二十三回/出島復元の歴史
60年も前から始まっている出島の復元は今も、そしてこれからも脈々と続きます。

 


「長崎諸港俯瞰細密画」長崎歴史文化博物館収蔵

出島の誕生から消滅
室町時代の1571年にポルトガル貿易船が初めて長崎に入り長崎港が開港したとされています。
江戸時代に入ると1636年(寛永13年)、幕府はポルトガル人によるキリスト教の布教を禁止するために長崎の有力な町人に命じて約1万5千平方メートルの人口の島を築きます。出島の誕生です。ここにポルトガル人が収容されました。
出島の築造に着手したのは1634年とされています。この年は中島川に架かっている眼鏡橋が完成しました。更に、同じ年に長崎の氏神・諏訪神社の秋季大祭『長崎くんち』が始まりました。
1639年(寛永16年)、鎖国令によってポルトガル船の来航が禁止されると、出島は一時、無人の島となりましたが、1641年(寛永18年)に平戸のオランダ商館が出島に移転しました。それ以来1859年(安政6年)までの218年もの間、 出島は日本の近代化に大きな役割を果たしました。
その後、長崎を近代的な貿易都市に改良するため、西側の水門付近や南側が拡張、埋め立てられ始め、地形が大きく変化していきました。1885年(明治18年)に起工した中島川の変流工事で北側の約18mが削り取られ、1904年(明治37年)の港湾改良工事で、その特徴的だった扇形の島は完全に姿を消してしまったのです。
 

 
 
出島を甦らせるために
鎖国令で日本は諸国との国交を閉ざされたと思われがちですが、実は交流もあり物資も供給されていました。
今でこそ資源が乏しいといわれている日本ですが、当時は島根の石見銀山、愛媛の別子銅山などがあり世界でも有数の産出国でした。それらは一旦大阪に渡り、長崎に来て輸出されていたのです。日本の交易、貿易の最先端は長崎にあったといっても過言ではないでしょう。
その出島は日本だけでなく世界史上においても貴重な歴史遺産であり、その復元を長崎市民はもちろん、国内外の多くの人々が待ち望んでいます。
復元事業は土地の公有化を始めた1951年(昭和26年)から続いています。
1989年(平成元年)には表門が復元されました。その表門と本土を結んでいた
表門橋も2016年には復元予定とのことです。(※1)
今は埋め立てられ、どこからでも入れる出島ですが、橋が表門からかかるということは原風景の復活、60年に渡る復元の歴史の集大成でもあるのです。


「長崎諸役場絵図所収(出島図)」
長崎歴史文化博物館収蔵

 
ミニチュアの復元も!!(※2)
1996年以前、建物の復元もまだそこそこだった頃、見学できる場所はありましたが、それは出島のミニチュアが主たるものでした。
今も重要な見学の箇所ではありますが、長年風雨にさらされ、老朽化していました。しかし今では長崎県立工業高校のカリキュラムの一貫として、生徒たちがこのミニチュアの復元 ・修復作業を続けています。
 

 
2016年、新たに6棟の建物が復元(※3)
これまで1996年(平成8年)から本格的な復元事業をスタートされ2000年(平成12年)にはヘトル部屋など5棟の建物が完成、南側及び西側の護岸の石垣も一部を修復・復元をされてきました。
そして2016年、筆者蘭人部屋や乙名詰所など6棟の建物復元が決定しているとのことです。
 
出島の扇形の復元が最終的な目標(※4)
長崎の人にもよく知られていないことですが、出島の形は埋めたられてわからなくなっている道路上にもアスファルトの色(※ピンクで着色した部分)を変えて表現されています。この部分が出島の本来の形なのです。そして、長崎市は最終的に道路の形を変えてでも、この部分まで復元したいと いう構想を持っているとのことです。
江戸時代、日本唯一の輸出入の玄関口であり、今は西側メインゲートとなっている 、この水門の復元こそが出島の本来の姿であり、原風景だからです。
 

 
出島を身近に
年間フリーパスとして進化する出島づくり(復元)を一緒に目指し応援してくださる皆さんを『出島商館員』として随時、募集されています。
年会費、大人800円、高校生300円、小中学生200円をお支払いいただく ことにより、お申し込みから1年間、何度でも無料で出島にご入場ができ、その他にも出島内の売店、レストランでの割引など特典もいっぱいの商館員証も発行されます。
また長崎市にお住まいで60歳以上の方は身分証明書(免許証・保険証)をご提示
いただくと無料でご入場いただける事をご存知ですか?
60歳以上の方で上述の商館員を希望される方は300円のお支払いとなります。皆さん、この機会に出島商館員になられてはいかがですか?
 

詳しくはコチラ >> http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/dejima2/syoukanninn-bosyuu2012.pdf
申込書はコチラ>> http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/dejima2/syoukanninn-mousikomi2012.pdf

 

 


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交通アクセス
路面電車 長崎駅前から【正覚寺下行き】に乗車し 【出島】で下車、徒歩すぐ
路線バス 長崎駅前南口から【新地ターミナル行き 】に乗車し【長崎新地ターミナル】
で下車、徒歩5分
自動車 ○JR長崎駅から 野母崎・県庁方面へ向って約6分
○長崎自動車道、福岡・諫早方面から長崎IC・ながさき出島道路を出て
  約1分
※駐車場は付近の民間駐車場をご利用ください
     
開場時間/8:00〜18:00 (無休)
出島総合案内所 〒850-0862 長崎市出島町6-1  TEL 095-821-7200
   
 

甦る出島 公式ホームページ http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/dejima/

 

出島のFacebookページ http://www.facebook.com/nagasakidejima

 

出典・取材協力:長崎市文化観光部 出島復元整備室

 

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