第十三回/竹ん芸
今回は『くんち』が終って1週間後に行われている祭事『竹ん芸』を紹介します。

 
若宮神社
長崎市の指定無形民俗文化財に指定されている「竹ん芸」。この竹ん芸が奉納される若宮神社は、「伊良林稲荷神社」ともいわれ、祭神は稲荷大神のほか、四神を祀り、長崎市内の十五の稲荷神社の筆頭です。
近くには坂本竜馬らが開いた貿易会社「亀山社中」の跡があり、龍馬をはじめ多くの志士たちもこの神社を参拝したといわれています。
 

 
毎年10月14日・15日に秋の大祭に奉納される「竹ん芸」は、長崎の地元の人々からは「たけんげ」と訛って親しまれています。
竹ん芸とは、雄狐(おぎつね)と雌狐(めぎつね)に扮した二人の若者が、十メートル以上もある男竹(おだけ)女竹(めだけ)と呼ばれる二本の青竹の上でシャギリ(囃子はやし)に合わせていろいろな演技を行い、むしろ曲芸といった方が良いような所作を演ずるのです。
 
演技は、道行・宝珠印・逆上がり・吊り下がり・両扇・大の字・男狐逆上がり・女狐渡り・カンタン夢の枕・餅まき・ゆり・逆さ降りなどの名称が付けられています。
囃子方の楽器は、唐笛・パラパラ・キャンキャン・胡弓(こきゅう)が使用されていましたが、現在は唐笛と締め太鼓と三味線に変わっています。
 
見物客の「よいしょ」のかけ声とともに、見事な技が次々に決められていきます。
特に隣あう竹に身を移しながら2匹がじゃれあうところや、ゆさゆさと竹を大きく揺らすところ、 そしてクライマックスで雄狐が逆さになったまま男竹を滑り降りるところなどでは、見物客らは息を飲むようなスリルが味わえます。
この芸能は、神の使いである狐が祭り囃子に浮かれ戯れている様を表現したものといわれ、起源が中国伝来の羅漢踊りにあるという。文政三年(1820)に初めて八百屋町が諏訪神社に奉納したのに始まるといわれています。
 

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